いつでもどこでも・あの人流
ひとつまみ加えるだけで味の幅が出る
インスタントコーヒーのほろ苦さ
料理研究家・ビューティーレシピスト 松見早枝子さん
Interview
料理の隠し味に使われるインスタントコーヒーですが、料理にどのような味の幅を持たせる効果があるのでしょう?
松見チャーハンでもちょっと焦げた部分が美味しかったりしますよね。インスタントコーヒーは苦味があるので、加えるとそんな美味しい焦げを食べた時と同じような印象を与えるんです。カレーやビーフシチューなど加えるとコクが出るのは知られていますが、料理で使う時のコツはコーヒーと分からないように入れること。苦味の調味料として料理にひとつまみ入れると味が品良くまとまると思います。また、これはイレギュラーなんですが、以前バラエティ番組でインスタントコーヒーを溶かしたお湯でカップ焼きそばの麺を戻したレシピを紹介したところ、付属のソースの甘さに苦味が加わったことで大人の味になって好評を得ましたね。
松見さんご自身のレシピで使われる時は多いんでしょうか?
松見はい。インスタントコーヒーを使うのはコーヒープリンやブランマンジェなど、スイーツが多いですね。クッキーなどインスタントコーヒーを溶かさず加えるということもあります。
レギュラーコーヒーではなくインスタントコーヒーを使う理由は、どんなところでしょうか?
松見手軽さや保存性の高さもありますが、何より水気を足さずに味にコーヒーの濃度を出せることですね。
松見さん初の著書『雑穀・豆・野菜できれいになるレシピ』(文化出版局)ではインスタントコーヒーを利用した“あずきといちじくのコーヒームース”をご紹介されていますが、10年前に和の食材とコーヒーを合わせるのは珍しかったかと思います。
松見テーマがキヌアや大麦など雑穀だったので、そもそも少し早かったんですが(笑)。あずきはコーヒーとも合うんですよ。同じ豆類だからでしょうか。それでなくても、コーヒーは和菓子と相性が良いんです。和菓子もお茶ではなく、コーヒーと一緒にいただくのも美味しいですよ。
松見さんはインスタントコーヒーを料理に使うだけでなく、たしなまれる機会はあるのでしょうか?
松見コーヒーを飲まないと気合いが入らないタイプなんです。特にインスタントコーヒーといえば、2003年度のミス・インターナショナルとして日本代表に選ばれた後の活動との思い出とともにありますね。国内外、さまざまな場所へお伺いしたのですが、場所によってお出しいただくのはお茶のみでコーヒーを丸一日飲めないこともあったんです。そこで、水筒インスタントコーヒーを持参することに。朝、宿泊先でお湯をいただいて、1日分のコーヒーを作って仕事に行き疲れたら飲んで元気を補給していましたね。ほかにも、料理を勉強するために18歳で行ったフランスのホームスティ先はコーヒーを飲まない家だったんですが、私のためにインスタントコーヒーを買ってくれていたのも思い出です。インスタントコーヒーは料理に便利に使えますが、やはりどこでも飲みたい時にすぐ作れる手軽さが魅力だと思います。私の青春時代の活動を支えて、活力になっていたのはインスタントコーヒーだったと思います。
Afterword
- 松見さんの初の著書『雑穀・豆・野菜できれいになるレシピ』(文化出版局)の“あずきといちじくのコーヒームース”。「料理本の編集者になりたくて1年間フランスで料理を学んだのですが、ミス・インターナショナルの活動のため就活ができなくて。その時に知人のアドバイスでレシピをまとめて企画書を出版社に提出して、本になったことから料理の道に入った思い入れのある一冊です」。
- 「インスタントコーヒーを使うと本当に簡単にスイーツが作れるんです」と、家にある材料でササッと作り始めた松見さん。インスタントコーヒーをお湯で溶かしてゼラチンと生クリームを加えた、コーヒームースをタルト生地に絞り出したコーヒータルトは苦味と甘さのバランスが絶妙で、大人のおやつタイムにピッタリ。
Profile松見早枝子さん
料理研究家・ビューティーレシピスト。2003年度ミス・インターナショナル日本代表を経て、料理研究家として雑誌やテレビ、講演会などで活躍。ジュニア野菜ソムリエ、雑穀エキスパートなどの資格を生かし“食を通じて美しくなる”オリジナリティの高いレシピを提供している。2017年より自身の料理教室『Tronc(トロン)』を開講。
公式ブログ『Beauty Life Diary』https://ameblo.jp/matsumisaeko/
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