インスタントコーヒーの楽しみ方HOW TO ENJOY COFFEE

いつでもどこでも・あの人流

自分らしい絵を模索してたどり着いた画材としてのインスタントコーヒー

自分らしい絵を模索してたどり着いた
画材としてのインスタントコーヒー
コーヒーアート 藤原英樹さん

インスタントコーヒーで絵を描く「コーヒーアート」。藤原英樹さんは現在、長崎県の『道の駅松浦 海のふるさと館』を拠点に活動中です。インスタントコーヒーを溶く濃度、絵筆であるスプーンを駆使して描き上げるイラストは見るものに感動を与え、話題に。画材にインスタントコーヒーを選んだ理由や、描き方についてお伺いしていきます。

Interview

コーヒーアート 藤原英樹さん

どのような経緯で、インスタントコーヒーで絵を描き始めたのでしょう?

藤原毎朝、飲んでいたインスタントコーヒーが始まりですね。新しい描き方の手法を探していたのですが、習慣の寝起きすぐのコーヒーを半分寝ている状態で飲みながら、ふとスプーンのコーヒーを紙に垂らして、そのまま線を描いてみたらすごくよかったんですよ。スプーンで絵を描いている人も聞いたことがないし、これはダブルで面白い、とピンときて。それから、インスタントコーヒーとスプーンで絵を描くようになりました。後になって調べたら、海外にコーヒーアートの方がいるのがわかったのですが、当時は知らなかったんですよね。

インスタントコーヒーの絵の特徴とは、どんなところでしょう?

藤原絵を描いている時の気温や湿度による乾き方で、微妙に色合いが変わるところですね。濃く塗りたいところはドロドロに濃く溶かして塗るんですが、乾くと飴色っぽくなって光の反射で輝いたり。普通の絵の具にはない仕上がりになる、本当に特殊な染料だと思います。ただ、それは難しさにも通じているんですよね。活動拠点の道の駅で描くのは屋外ですが、屋内とは乾くスピードも違うし、同じ濃度で溶いても色合いが変わる。こればかりは、経験を重ねて描いていくしかないですね。

コーヒーアート 藤原英樹さん

1枚のイラストを仕上げるの工程、完成までの日数はどのくらいかかるのでしょうか?

藤原参考写真を見ながら描くのですが、写真はカラーなので、まず頭の中でセピア色に置き換えながら、色の濃淡を考えて鉛筆で下書きを描きます。インスタントコーヒーの粉に対する水の量を調節して、さらに紙の上に置いてみて濃さを確認ながら仕上げていきます。ただ、スプーンは筆と違うので、インスタントコーヒーの液は紙の上で伸びません。細かく何回も色をのせることを繰り返すので、時間はかかりますね。日数はA3サイズの虎のイラストで、完成まで約1週間でした。

新しい技法ゆえの難しさは、どんな点でしょうか?

藤原インスタントコーヒーなので、気温が上がってくると溶けてベタベタになるんです。絵を長期保存ができるのか、カビが生えたりするのか、長期保存で色褪せるのかなどもまだわからなくて……。なので、いま道の駅で販売しているのは複製画のみで、オリジナルはアクリルスプレーで表面を保護して耐久年数などの様子を見ているところです。

コーヒーアート 藤原英樹さん

今後の創作活動において、ご自身の課題はありますか?

藤原絵筆がスプーンなだけに、線の太さをコントロールすることが難しいですね。そのため、同じ動物を定期的に描いて、インスタントコーヒーとスプーンを使った絵を描くスキルを高める練習をしています。小さいころから絵を描くことが好きだったんですが、独学ですし仕事を絵描き1本にしたのは31歳。それにインスタントコーヒーを使い始めて2年半ほどなので、技術は発展途上中ですから。ただ、技を探究し続けるのは職人気質の僕に合っているので、コーヒーアートの技術を追求して、一生もがいていくだろうなと思っています。こんな感じなのでさまざまなことを試しながらの創作活動ですが、最近は個展のお話もあって。もっと自身の活動範囲を広げていければと思っています。そして、僕の絵を見た方がコーヒーを飲んだ時にピンと背筋が伸びる感覚を受けるような絵を描いていければと考えています。

Afterword

インスタントコーヒーをカップに溶いて、別の容器で使用する濃度に調整
インスタントコーヒーをカップに溶いて、別の容器で使用する濃度に調整をする。「インスタントコーヒーは買いに行った時のお買い得品で、スプーンは4本100円のもの。画材にお金はかけません。絵は創意工夫次第で描けるものだと思います」。
ほぼ毎朝、寝起きで飲むインスタントコーヒー
ほぼ毎朝、寝起きで飲むインスタントコーヒーは「飲むのはブラックのみです。朝、シャキッとする僕にとっての起爆剤。疲れた時に飲むとホッとしますしね」。日本一周自転車の旅では疲れで甘いものを欲するため、砂糖入りのスティックタイプのインスタントコーヒーがお供だった。
コーヒーアート 藤原英樹

Profile藤原英樹さん

長崎県の『道の駅松浦 海のふるさと館』を拠点に活動中するアーティスト。29歳で会社を辞め、2年かけて自転車で日本一周に。日本一周時代にお世話になった人に、絵を描いてお礼として渡していた経験をキッカケに故郷の大分県に帰った後に創作活動に専念し始める。

Archive

国立科学博物館 標本資料センター コレクションディレクター(兼)分子生物多様性研究資料センター長。博士(Ph.D) 真鍋 真さん

厳しい環境で行う恐竜の化石発掘調査は
インスタントコーヒーで食後の“リセット”を

国立科学博物館 標本資料センター コレクションディレクター
(兼)分子生物多様性研究資料センター長。博士(Ph.D) 真鍋 真さん
くわしくはこちら

小説家・フランス文学研究者 小野正嗣さん

自分好みの濃さで楽しむインスタントコーヒー
執筆活動を支える目覚めの1杯

小説家・フランス文学研究者 小野正嗣さん
くわしくはこちら

アルパインクライマー・山岳カメラマン 平出和也さん

インスタントコーヒーは未踏ルートに挑み
山から生きて帰るための選択

アルパインクライマー・山岳カメラマン 平出和也さん
くわしくはこちら

格闘家・BRAVE主宰 宮田和幸さん

レスリングと格闘技の現役時代、減量と集中力を支えたインスタントコーヒー
格闘家・BRAVE主宰 宮田和幸さん
くわしくはこちら

山岳カメラマン 宮下秀仁さん

北アルプスの山々を撮影した後の極上の一杯で心身ともにほっとひと息
山岳カメラマン 宮下秀仁さん
くわしくはこちら

女優 鷺沼恵美子さん

舞台の稽古中にインスタントコーヒーで深呼吸とともに頭も心もリフレッシュ
女優 鷺沼恵美子さん
くわしくはこちら

ネイチャーフォトグラファー 柏倉陽介さん

自然のなかでゆったり過ごすために欠かせないインスタントコーヒー
ネイチャーフォトグラファー 柏倉陽介さん
くわしくはこちら

コーヒーアート 藤原英樹さん

自分らしい絵を模索してたどり着いた画材としてのインスタントコーヒー
コーヒーアート 藤原英樹さん
くわしくはこちら

ダイビングインストラクター 藤原歩さん

ダイビング後のインスタントコーヒーが海中で冷えた体を中から温める
ダイビングインストラクター 藤原歩さん
くわしくはこちら

料理研究家・ビューティーレシピスト 松見早枝子さん

ひとつまみ加えるだけで味の幅が出るインスタントコーヒーのほろ苦さ
料理研究家・ビューティーレシピスト 松見早枝子さん
くわしくはこちら

森の演出家 土屋一昭さん

自然の中でいただく黒みつの甘さが体に染み渡るインスタントコーヒー
森の演出家 土屋一昭さん
くわしくはこちら

トラベルジャーナリスト 寺田直子さん

インスタントコーヒーは海外取材中にひと息つくために欠かせない飲み物
トラベルジャーナリスト 寺田直子さん
くわしくはこちら